ご挨拶

こんにちは、つまみ細工作家のみゆきです。

まさか自分が「和」の関係の仕事をするとは

物心ついた頃から、着物が大好きでした。小さなころは時代劇のお姫様や花魁に興味があり、テレビにかじりついてみていたようです。祖母が生前は和裁を仕事にしていたそうで、端切れやもらった着物がそこらここらにありました。小学生の頃、近所に茶道華道の先生がいらして、習いに通わせてくれました。共働きで忙しかった母なので、本当は自分で習いたかったのかもしれません。

とはいえ、育ったのはごくごく一般の家庭で、家の中も洋風でしたし、針仕事が大の苦手だったのでまさか自分が「和」の関係の仕事をするとは思いませんでした。

何かを始めたかった。つまみ細工に出会った。

つまみ細工を始めたのは、東日本大震災の後。その時、仙台在住でした。幸いに家に被害はなかったものの、世の中のいろんなものが停止していて、日常が奪われました。テレビも悲惨なニュースがあふれていてあまり見たくありませんでした。何もしない時間だけが過ぎていき、気を紛らわす何かを探していたのかもしれません。そんな時につまみ細工を知ったのでした。

つまみ細工第1号はやはり七五三

ちょうど娘が七五三を迎える年だったので、その下調べをしている時だったと思います。【 つまみ細工 】を見つけました。江戸時代から伝わる東京都指定の伝統工芸で、華やかで繊細で、とても愛らしい。伝統工芸でありながらもハンドメイドクラフトとしても人気があり、一見難しそうだけど技法は2つだけで簡単そう。和装が好きだったので和小物も大好きだった私は一気に心惹かれました。

針仕事は嫌いだけどこれならできるかも!

着物の端切れは沢山ありましたので、見様見真似で娘の髪飾りを作ってみました。どうやら、その嫌いな針仕事に対してコンプレックスがあったようで、「針と糸が一切不要!」というつまみ細工はとても相性が良かったみたいです。

はじめることで何かが変わる

つまみ細工の基本は2種類だけ。それを組み合わせていくだけなのに様々なカタチが表現できます。使う道具と言えば生地と接着剤、はさみ、ピンセットだけ。本の30センチ四方のスペースで作業できるのもお手軽さのひとつです。ちょっとした隙間時間にささっと広げてパーツを作り、お道具箱を用意しておけば片付けにかかる時間も一瞬です。子供たちが学校に出かけた後、家事の合間にできるのが継続できた要因かな。と、今になって思います。

世界を変えてくれたつまみ細工

自己流で始めたつまみ細工でしたが、ご縁が広がり活動範囲がどんどん増えて行きました。デパートなどでの期間限定出店や催事での販売など様々な経験をさせていただき、 最初は、着物に合わせて古典的なかんざしや髪飾りを作っていましたが、もっとたくさんの方に【つまみ細工】を知って楽しんでいただきたいと、ご要望を伺い、ピアスやブローチも作るようになりました。

お教室を開くようになると、友人が増え、つまみ細工仲間が増え、お客様が増え、生徒さんが増えてきました。月に一度のつまみ細工のお教室では、楽しくおしゃべりしながら季節の草花などをブローチや髪飾り、飾り物を制作されています。いつも楽しすぎておしゃべりの時間が足りなくなるので、和の文化を楽しみながら着物でお出かけするコミュニティが出来ないかなと企画中です。

もっとお役に立つこともあるかもしれない

日本ならではの四季や季節感を感じながら想いを馳せ、視覚と触覚を研ぎ澄まして作業するつまみ細工は、脳の活性化にもつながるそうで、私が知らない可能性を持っているみたいです。もしかしたらもっと幅広い年齢層の方や、違う世界方のお役に立つこともあるかもしれないと、出来る限りいろんな形で配信の活動をするようになりました。特に力をいれているのは、YouTube『丁寧な和暮らし』チャンネルです。 2020年夏から、つまみ細工で簡単にできるものを中心に発信しています。先ずは、YouTubeでつまみ細工ってどんなものなのか、どんな人がやっているのかをご覧いただき、興味を持っていただく人が増えれば嬉しいと思っています。